製品レビュー・導入事例

音響エンジニアの浜村航平様によるBLO-3090レビュー

今回は音響エンジニアの浜村航平様に弊社ショウルームにお越しいただき、”BLO-3090 Reference Monitor Amplifier”のヘッドフォンアンプ機能を中心に試聴していただきました。浜村様はご自身もBLO-3090の前身モデルである”BLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.(Electronic Controlled Attenuator)”をご愛用とのことですので、実際に両機種を聴き比べながら、レビューをしていただきました。

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ビックリするくらい音楽の鳴り方が違う!

オプティマソリトン(以下OS): 本日はBLOSSOM BLO-3090の試聴のお時間をいただきまして、ありがとうございます。BLO-3090はプリアンプ+バランス駆動対応ヘッドフォンアンプの機能を突き詰めたアナログアンプの複合機としての設計がなされています。それに対して以前のモデルであるBLO-0299及びBLO-0299 Auditoriumは、RCAアンバランスのラインアウトをステレオ1系統備えてはいるものの、ほぼヘッドフォンアンプに特化した設計の製品でした。そこで、今回は普段ご愛用いただいておりますBLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.と新しいBLO-3090のヘッドフォンアンプ部分に焦点を当て、その音質や機能性の違いについて比較試聴をしていただきたいと思います。

浜村様(以下H): 分かりました。それでは先入観を持たないように、BLO-3090の音質的な特長のことは聞かずに試聴していきましょう。

ヘッドフォンは普段から使っている”AUDEZ’E LCD-2 Rev.2 Balanced”と”beyerdynamic T1 Balanced”を持って来ました。先ずは普段聴きなれたBLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.から…。うん、自宅とはシステム上流のトランスポートやDACの違いこそありますが、当然いつもと同じ音ですね。BLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.は広大な音場と解像度がありながらもウォームなトーンです。特性はフラットで、音場が広く、その中に音像が前後左右に3D感覚で定位するのが特長ですね。

OS: 初期のBLO-0299のサウンドは広い音場とウォームで濃厚なトーンが特長でしたが、BLO-0299 Auditoriumではサウンドがタイトになり個々の音の分離も良くなりました。それによって広い音場の中に音像が「点」で存在するようになり、3D感覚の空間表現に繋がりました。更にBLO-3090のE.C.A.回路を元にした電子ボリューム・キットを搭載したBLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.では、音声信号がボリュームポッドを通過しないため、左右のチャンネル間のエラーが無くなり位相特性が大幅に向上しましたし、音質も一段とクリアーになっています。センター定位はしっかりと決まり、音像の存在感が増しています。また、出力レベルが6dBアップしていることと、ヘッドフォンゲインの増幅レベルが以前の+10dBから+6dBに変更となっています。これはBLO-3090のそれと同じ比率です。

H: その定位の良さ、音の分離の良さがLCD-2やT1といったハイエンドクラスのヘッドフォンのポテンシャルを上手く引き出していて、とてもバランス良く聞かせますね。それでは新しいBLO-3090を聴いてみましょう…。

ん!? これは何でしょうか!? 一聴して全然違いますね。ビックリするくらい音楽の鳴り方が違います。この一聴では何がどう違うのか一言では言い表せませんが、BLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.と比べてサウンドが大分異なるということに加えて、それを含めた世の中に多数存在するヘッドフォンアンプというもの自体の鳴り方と世界観が違うような感じがします…。最初に感じることは天井が随分高いというか、ダイナミックレンジが凄く広いですね。また奥行き方向の音場がBLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.のそれと比べると随分と深くなっています。

OS: そうですね、おっしゃるとおりです。BLO-3090とBLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.では一聴して判るほど音楽の鳴らし方が違います。ダイナミックレンジはかなり広くなっていますし、S/N比も改善されています。この2点だけを取っても音楽の印象は大分異なりますよね。また、音像や音場の表現の仕方にも大きな違いがあると思いますが、そのあたりはどのように感じますか?

H: そうですね、音像はBLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.でもしっかりしていてリアリティーがあると思っていたのですが、BLO-3090のそれは次元が違いますね。非常に自然な在り方で実物大の音像を体感できますし、これは音場再生や空間表現においても全く同じです。センター定位がしっかりとしていて、ステレオ感は極めて自然です。音楽の鳴り方がオーガニックで実体感に溢れ、何だかヘッドフォンで聴いている音ではないような気がします。スピーカーで聴いている感覚にかなり近いです。これは凄いですね! うん、良いです、この鳴り方は。音質のバランスは極めてフラットで変な癖が全くありませんし、解像度も一段と上がっていて非常にクリアーです。しかし高解像度系の機種によくある腰高で表面的な鳴り方ではなく、グッと低重心で安定感があり音色も深いです。音の分離もとても良いのですが、BLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.のそれと比較するとわざとらしさがないというか、凄く自然ですし、余韻や響きも綺麗に繋がっています。また、能率の低いLCD-2やインピーダンスの高いT1も十分にドライヴしていますし、非常に制動が効いていて音がしっかりと止まります。何だかBLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.から全体的に随分とレベルアップしていますね。

実際の生演奏の音量に近づくほど、本物のトーンや躍動感のとおりに再生

OS: そう感じていただけましたか。BLO-3090の開発において最も重視した点は「優れた音質のラインアンプを造る」ということです。そしてBLO-3090は実際にラインアンプ(プリアンプ)としての機能性を確立していますが、その出力方式の一つとしてヘッドフォンアウトがあるわけです。よってBLO-3090からのサウンドはスピーカーシステムからもヘッドフォンからも同じような音色やバランスで鳴るようになっています。BLO-0299の頃はヘッドフォンアンプからの出音のみに焦点を当てて音決めをしていたため、どうしてもヘッドフォン特有の音場や定位、ピークのある周波数特性に合わせた設計やチューニングになっていました。結果、非常に多種多様な機種の存在するヘッドフォンに対して、「合う・合わない」といったことがありました。もちろんスピーカーにも多種多様な機種がありますが、そこには必ず「ルームアコースティック」という絶対的に不動なハウジングが存在しますので、それにてバランスを取りながら調整をします。しかし、ヘッドフォンにはそのハウジングが機種によって異なるため、スピーカーシステムのそれと比べて非常に多様になり、また極端な特性のものが多く存在するのです。これに対してそれを助長する普通のヘッドフォンアンプを造っていては、そこに真の音楽の姿は見られないと考えました。

H: なるほど、それでBLO-0299を始めとした一般的に「ヘッドフォンアンプ」といわれるものに対して、BLO-3090はこれほど音楽の鳴り方が自然で、部屋でスピーカーシステムを鳴らしているのに近いバランスになっているわけですね。”Reference Monitor Amplifier”とはそういった意味からついたタイトルなのでしょうか。

今回実際に両モデルを聴き比べてみて感じたことですが、確かにBLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.は所謂ヘッドフォンアンプの鳴り方をしています。メインの音もサイドの音も背後で鳴っている音も全てが良く聴こえ、一面に広がっています。これはこれで個性や存在感がしっかりとあって良いと思いますが、BLO-3090の出音は正直言って別格です。根本的に世界観が違います。これはもう頭内定位の中で聴くヘッドフォン・モニタリング(リスニング)の狭い世界に対してのヘッドフォンアンプの仕事はしていませんね。本当にスピーカーライクで実体感に溢れていて、音楽がとてもオープンです。音像の大きなものは大きく、小さなものは小さく、メインの音は存在感があり、サイドの音はそれに寄り添い、背後の音は引き立てるようにバランスしています。音楽は奥行き方向に深くとてもディープですね。音量を上げても決して音楽が破綻することがありませんし、むしろ実際の生演奏の音量に近づければ近づけるほど、本物のトーンや躍動感のとおりに再生しますね。しかも周波数特性に変なピークが無いので、ヘッドフォンで音量を上げて聴いても耳が疲れたりしません。このこともBLO-3090でドライヴしたヘッドフォンの鳴り方が、今までのものとは違った印象を持つ一因かも知れないですね。これを聴いてしまうとBLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.は結構作られた音の鳴り方をしているように感じます。

OS: BLO-0299に限らず、世の中のヘッドフォンアンプの多くはそのようです。先ほど申し上げたようにヘッドフォン自体が個性やピークの固まりですから、それを電子回路的に特性良く増幅するだけでは楽器本来の音色や音楽の本質は表現できません。こと音楽信号を扱うオーディオ機器に対してはスペック有りきではないと思います。オーディオ機器の設計または音決めをする者の中には、実際に本物の楽器の演奏ができて、その音色を良く把握している「音楽家」が必要です。また、それを良い部屋とマイクで録音することができる「録音技師」も必要となります。開発陣に音楽家も録音技師もいなければ、その機器から出力される音色や音像、ダイナミクスやハーモニーが実物と同じように存在しているのか判断することは難しいと思います。BLO-3090の開発においては、もちろんそのような人物が携っていますし、スペックだけに拘ることなく”Musical fidelity”に重点を置いて造り上げました。音量とトーンやダイナミクスの関係についてもそうです。実際の演奏の音量に対して明らかに小さいBGMレベルのときに、濃密で躍動感に溢れたサウンドを出すことは極めて不自然です。そのまま音量が上がっていったらどうなってしまうのでしょうか。ただうるさくなるだけではないでしょうか。BLO-3090では小さな再生音量のときは音楽も小さく弱く、メリハリもありません。これは実際の音楽の鳴り方がそうだからです。そして、音量を上げていってリスナーがSPL(サウンド・プレッシャー・レベル)を感じるに従って音楽に躍動感が生まれ、トーンも深まり多彩になります。これも実際の音楽の鳴り方がそうだからです。 そしてまた、スピーカーシステムもそのようにバランスして鳴ります。しかし、世の中のヘッドフォンやヘッドフォンアンプの中にはどのような音量でも常にビンビンと音が立っていて、トーンも強く色付けされたものもあるようです。 BLO-3090は徹底的にMusical fidelityに拘って音決めをしました。ですから音量も音色も躍動感も、全ては実際の楽器や歌声のとおりに再現するようになっていると思います。これは当然スピーカーシステムでもヘッドフォンでも全く同じように鳴らなくては意味がありません。”Reference Monitor Amplifier”とはそういった意味を込めてのものです。

スピーカー再生と遜色のないヘッドフォン再生を実現した意欲作

H: なるほど、良く分かりました。音楽を再生すると言うことは、全くそのとおりですね。BLO-3090のヘッドフォンアウトからの再生特性であれば、実際の演奏やスピーカーシステムからの再生のようにガンガン音を鳴らして浴びるように音楽を聴いても耳に負担は掛かりませんね。特に自宅ではスピーカーシステムを大きな音で鳴らすことは難しいですから、ヘッドフォンでそのように再生できることは非常にありがたいことです。

また、多くのヘッドフォンはその特性がフラットなものは少なく、ピークがあって逆にそれが個性となっていますよね。要は音のバランスを崩してでも音像が目立つようにわざと個性的な特性になっているわけです。それがスピーカーシステムからの出音に比べて小音量でもより明確で音に輪郭があるため、解像度が高いように錯覚してしまいます。でも、これは大きな間違いですね。実際の演奏や音楽はそんなに音の輪郭や分離感を前面に出して表面的には鳴らないですから。本当の音楽はもっと大きくて深い響きがするものです。しかし、そんなピークの固まりのヘッドフォンでもBLO-3090で特にバランス駆動にてドライヴすると、不思議とヘッドフォンの駄目なところが修正されているようです。どのようなヘッドフォンでも非常にバランス良く、正しい鳴り方になります。これであれば小さい音量では音楽も小さく弱く、音量を上げれば音楽も大きく太くダイナミックに鳴り響くといった、至って自然なバランスになります。

BLO-3090はヘッドフォンアンプの次の来るべき時代に足を掛けている

H: 何だかBLO-3090はヘッドフォンアンプの次の来るべき時代に足を掛けているように思えます。スピーカーシステムの再生と同時に使え、それと遜色のないヘッドフォン再生を実現した意欲作だと思いますし、快作ではないでしょうか。また、リアパネルにある”BLO-BUS”などを利用した今後の拡張性のことも含めると、この機種をきっかけに充実したコンポーネントの発展に繋がる気がします。このことを考えるとBLO-3090のサウンドはこれ単体ではまだ完結していなくて、更に発展するのではないですか?

OS: そうですね、”BLO-BUS INPUT”や本体底面に設置されたB.E.C.S.回路(Blossom Electronic Control System)の”EXT FUNCTION”のDIPスイッチなどを見ると、今後このBLO-3090に接続される機器のリリースが控えていることは、誰でも予想できますよね。このあたりは今後に期待していただければと思います。

H: なるほど、それは楽しみですね。しかし、今回はBLO-3090とBLO-0299 Auditoriumの比較試聴ということでヘッドフォンアンプ部分のみを試聴しましたが、今度は是非スピーカーシステムでも聴いてみたいですね。

OS: 今度用意しておきますので、またよろしくお願いします。本日はありがとうございました。

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