電源物語

Vol.15: 電源波形データーいろいろ。

Vol.14から早々と更新です。

おかげ様で、GPC-TQが、好評のため、前回の生産分が、完売したので、現在品切れ中です。そのお詫びを兼ねまして、書き上げました。(実際は、売る商品が無いので暇だからです。)

今まで、度々、電源波形を紹介してきましたが、今回は、そのデータを一気に公開いたしますので、お楽しみください。

旧信濃電気の茅野工場の電源波形

旧信濃電気の茅野工場の電源波形

 

外側の波形は、電圧、内側の波形は、電流です。以下同じ。

一番目は、メーカーである旧信濃電気の茅野工場の電源波形です。下の波形が、中部電力からの商用電源ですが、ここは、事務棟の応接室なので、単相100Vです。(工場設備は、三相200V です。)

上の波形が、HSR-2000Pの出力波形です。

綺麗な正弦波で、電流も電圧のピークに対応して綺麗に流れている様子が判ります。

つまり、キチンと電圧波形のピークが無いと電流が流れにくくなり、機材が、要求しているエネルギーが、供給出来ないことになります。よって、パフォーマンスが、低下し、音質に影響を与えてしまっていることになります。

さて、長野県茅野市に給電している中部電力は、60Hzです。

長野県は、地域によって、東電の50Hzと中電の60Hzが、混在していますが、大分部の地域は、中電60Hzです。

以前、同県の千曲高原のユーザー宅を訪問した時、このお宅は、東電の50Hzでした。

個人宅なので、波形データは、出せませんが、波形そのものは、綺麗な正弦波だったのですが、集落から離れているため、幹線の柱上トランスから、かなり距離があり、そのために電圧降下が、生じていました。

つまり、テスターでは、100Vを若干下回る程度でも、実際は、波高値が、足りないため、100Vの√2倍の141.4Vに達していないという電源事情でした。

そのため、ラックスの管球アンプの動作が安定せず、音質も物足りない、という状態になり、信濃電気のHSRを使ってみようという運びになり、購入して下さいました。

某ホールの電源波形

某ホールの電源波形

次は、PA技術者のための研修会で、電源を取り上げた際の某ホールの電源波形です。

左上から1、2、3右上に4、5、6となります。

1、 は、音響用専用電源のC型コネクタの波形(無負荷状態)で、綺麗な波形です。

2、 は、そこから、客席中央まで、Cコネ20m×2本、40m延長し、負荷のPA機材を接続した波形で、台形状になり、104.0Vから95.0Vまで、電圧降下が起こっていました。

3、 は、そのままHSR-2000Pを接続して、測定していますが、バイパスしてスルーの状態で、力率改善が診られて電圧も96.4Vまで、上昇しています。

4、 パワーを投入して、HSRから給電した波形です。

理想的な正弦波に改善され、電圧も104.8Vになり、ノイズ成分も確認できません。

5、 次は、舞台上のせりを動作させた時の音響用専用電源の波形ですが、ノイズが確認できますが、スピーカーからは、聴こえていませんでした。

6、 今度は、舞台のスライディングステージを動作させた際の波形で、やはり、ノイズが確認できますが、この時は、スピーカーからノイズ分が聴こえました。

7、 また、HSR-2000Pを接続してそのバイパスの電源波形です。波形そのものは、やや、改善されましたが、ノイズ分はそのままでしたが、スピーカーからは聴こえませんでした。

8、 7、のHSR-2000Pの出力波形です。波形も綺麗な正弦波になり、ノイズ分も確認できませんし、スピーカーからも全く聴こえていませんでした。

9、 6、にHSR-2000Pを接続してそのバイパスの電源波形で、ノイズ分は、聴こえません。

10、 そのHSR-2000P出力波形です。綺麗な正弦波で、ノイズも全く聴こえません。

左上から7、8、9、10です。

HSR-2000Pを接続してそのバイパスの電源波形

HSR-2000Pを接続してそのバイパスの電源波形

ここでのデモンストレーションによって、全国各地のホール等で、導入されるようになりましたが、1996年当時は、まだアナログ機材が多く、負荷となる機材の電気容量に対して、2KVAでは、容量不足と言う指摘も多々頂戴していました。

その後、デジタルの機材が、普及し、容量不足の問題も解決して、多くの現場に導入されて行きました。

この波形では、ステージを動かす動力系の影響が、音響用電源にも及んでいることがはっきりと判ります。

と言うことは、皆さんのご自宅、仕事場で、集合住宅やテナントビル等で、エレベータや店舗等、動力系を使用している場合、少なからず、影響を受けている可能性が、高いと言うことです。

電源周りの対策が、必要ですね。

変わった事例では、都内港区のテナントビルのスタジオでは、日中、ノイズの影響が、あるため、重要な作業は、夕方以降、深夜にかけて行っていたそうです。

ある日、外録の仕事で、別の所で、作業した所、全く、ノイズの影響を受けずに作業出来たため、原因を突き詰めていくと、一番の変動要素は、電源事情ではないかと言うことで、テナントビルのオーナーに依頼して、時系列に電源を測定できるハイコーダーで、調べた所、どうも、テナントの歯医者さんの営業時間と同調していると言うことで、歯医者さんの波形を調べてもらい、ノイズ源を特定したそうです。

しかし、そうは言っても、歯医者さんに悪意は、ありませんので、ノイズ対策&安定化電源として、信濃製品を導入していただいたことが、ありました。

http://hioki.jp/mr8847/index.html

次は、ちょっと、珍しい電源波形を紹介しましょう。

ホンダ「EX5000」のエンジン発電機の電源波形

ホンダ「EX5000」のエンジン発電機の電源波形

これは、ホンダの「 EX5000」別名、ドカジェネと言われているエンジン発電機です。

最初に波形測定だけを行い、後日、HSR-2000Pを持ち込んでのデモを行っています。

番号は、左上の1から順番に最後は、6になります。

1、 これは、無負荷、何も接続されていない元の波形です。

2、 1kwの照明を20mケーブル経由で給電し、調光50%の状態では、サイリスタノイズが、谷のように入り、波形全体にノイズが、乗っています。

3、 600Wのスポット照明を20mケーブルで給電した際の波形ですが、途切れているのは、撮影用のポラロイドカメラのシャッタースピードが遅いため、ノイズによる変動に着いていけていない状況です。

4、 デモの時の無負荷の「EX5000」の波形です。

5、 3、と同条件ですが、この時は、上手く撮影出来ています。

6、 「EX5000」からHSR-2000Pを経由してスポット照明に給電した電源波形です。

全くノイズも波形の乱れも確認できませんでした。

ちなみに「EX5000」は、どう言う訳か53Hzでした。HSR-2000Pは、60Hzです。

このデモは、音質としてではなく、安定化電源としての品質のデモンストレーションでしたので、正直、ドカジェネに対し、多少ビビっていましたが、見事な勝利でした。

まるで、フジテレビの「ほこ×たて」のようです。

http://www.fujitv.co.jp/hokotate/index.html

あるオーディオ雑誌に「使い方を知るオーディオの新常識」と言う企画で、電源周波数は50Hzと60Hzどちらが有利かといった内容の記事がありました。

理論上は、周波数の高い方が、効率は良く、有利だと言う考え方があるが、ホンダの発電機で実験したケースでは、50Hzの方音も厚く解像度も高かったと言う記述でした。

しかし、このように発電機は、動作が不安定なため、そのような電源で、周波数の違いを論じるのは、危険です。

動作が安定している状態で比較試聴するべきで、動作が安定しているHSRシリーズでの比較では、圧倒的に60Hzの方が、良かったと念のためにご報告しておきます。

*周波数と同期して回転を制御するシンクロナスモーターを使う回転系の機材は、その周波数に合わせなければ、いけませんので、注意して下さい。

さて、波形の話に戻りましょう。

次は、某TV局のスタジオでのデモンストレーションの波形です。

当時は、芸能人のモノマネ歌合戦が、流行っていました。

その際、審査員として参加している方々は、ヘッドホンでモニターして審査していました。

その光景は、思い出される方もいらっしゃるでしょう。

ご存じのようにTV局のスタジオは、花火のような照明、電飾の渦の中です。

先程のドカジェネのように調光類は、ノイズを盛大に撒き散らします。

少しでも音に関わっている人にとっては、ヘッドホンでノイズの洗礼も受けることになります。

そのため、ノイズ対策としてのHSR-2000Pの出番となった訳です。

某TV局のスタジオの電源波形

某TV局のスタジオの電源波形

今までと同じように1~5、 6~10 です。

1、 照明用の直電(All Off)

2、 放送機器用電源(All Off)

3、 以下照明用直電 1-a負荷フルゲージ

4、 1-a負荷ハーフゲージ

5、 1-bフルゲージ

6、 1-bハーフゲージ

7、 1-cフルゲージ

8、 1-cハーフゲージ

9、 照明用直電 電飾全てONフルゲージ

10、 照明用直電 電飾全てONハーフゲージ

実際は、ここまで測定していきましたが、時間が押して、リハーサルに入り、文字通り、ぶっつけ本番で、HSR-2000Pから給電し、無事ノイズ無しで、乗り切りました。

やはり、直接、耳に「ジー」とか「ヴィー」とかは、キツイものがありますから、その後、導入が、決まったことは、言うまでも有りません。

某TV局スタジオでHSR-2000Pから給電した電源波形

某TV局スタジオでHSR-2000Pから給電した電源波形

大きな体育館でのライブリハーサルで、電源車(TCC EG 75Kva)から負荷のアンプへの給電の波形

大きな体育館でのライブリハーサルで、電源車(TCC EG 75Kva)から負荷のアンプへの給電の波形

今度は、左上から代々木の大きな体育館でのライブのリハーサルの際、電源車(TCC EG 75Kva)から負荷のアンプへの給電の波形です。

左下は、その電源にHSR-510を接続した波形です。(綺麗な正弦波)

右上は、左上のリハーサル中の大音量時の電源波形、右下も同様で、変動の様子を連続で撮影しています。

波形のエンベロープが二重になっているのは、ポラロイドカメラのシャッタースピードの影響ですが、変動の大きさが判ると思います。

某TV局の新スタジオの調整室の波形

某TV局の新スタジオの調整室の波形

最後は、某TV局の新スタジオの調整室の波形です。

機器用電源は、新社屋開局前の状態で、もう歪んでいます。

つまり、実際には、稼働している放送機材の負荷が少ないと言う訳ですね。

しかし、症状としては、モニタースピーカーの音圧が、エンジニア席まで、届かないと言うことで、モニタースピーカーのメーカーからの依頼で、デモを行いました。

結論から言えば、モニタースピーカーより、パワーアンプのパフォーマンスが、電源の影響で、発揮できていなかったと言うことですね。

パワーアンプが、要求しているエネルギーが、不足しているため、音が、届いていなかったということでしょう。

音楽番組等を収録する一番大きなスタジオですから、バランスが、取れずに大事です。

さて、駆け足でしたが、これまで行ってきたデモンストレーションで、訪れた現場の電源波形を紹介してきましたが、最終的には、電気は、見えないので、こう言った測定器を使い、状態を見えるようにして、電源を把握して、対策してあげることが大事です。

聴感だけでなく、測定機も活用して、電源環境の改善から音質の向上を図ることも重要なことです。

2011年9月5日

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