電源物語

Vol.3 : 電源の極性について

三回目は、電源の極性(きょくせい)の話です。

広辞苑では、「特定の方向に沿ってその両極端に相対応する異なった性質を持つこと。例えば、磁石のS極、N極」とあります。

では、電源で言うとどうなるか、いわゆるHot、Cold、プラス(+)、マイナス(-)です。

つまり、Hot、プラスから電気が流れて、Cold、マイナスに還ってくる流れを言います。

スタジオ・オーディオ機器の回路には、電気は、一次側から入って、二次側に出て行く流れがありますが、これは、信号やデータと全く同じです。信号やデータでは、逆には、流れませんから、音が出なかったり、表示が出来ないので、すぐに異常だと判断できますが、電気の場合、とりあえず、回路に電気は流れますから、気にしなければ、そのままの状態で、聴いたり、観たりすることが出来てしまいます。

この極性が、逆送の場合にどうなるかと言うと、第一回目でお話したように音に関して、位相が狂ったような印象が生じます。ボーカルの口が大きくなったり、ベースの音が、異様に膨らんだような音になります。

では、どのようにして極性が合っているかを確かめる方法ですが、日本は、ご存じのように交流の100Vが、給電されています。この100Vは、単相2線というもので、壁コンセントを見ていただければ、一目瞭然ですね。

アース端子付の3Pコンセント

アース端子付の3Pコンセント

これは、アース端子付の3Pコンセントですが、平行のコンセントが一般的です。穴の短い方が、Hot、長い方が、Coldです。短い方(Hot)から、電気が出て、長い方(Cold)に還ってくるという流れです。長い方に指を入れても感電しません。 *極性を間違えて配線していることが有りますので、絶対に指を入れないで下さい。責任持てませんから、良い子は真似をしないようにお願いいたします。

まず、用意する物は、指ではなく、測定器です。 

検電ドライバー 

検電ドライバー 

一番簡単な測定機材です。これは、マイナスドライバーですが、別の形状もあります。Hot側に差し込むと内部にネオン管が、仕込まれていて、点灯する仕組になっています。

検電ドライバー 

Cold側は、点灯しません。

Cold側は、点灯しません

しかしながら、条件によっては、両方点灯したり、しなかったりすることがあり、あくまで、簡易式の測定方法と言えますので、皆さんは、テスターを用意された方が、何かと便利だと思います。

そのテスターも、デジタル表示式とアナログメーター方式の二種類がありますが、数値を判読するために読み取りやすいデジタル方式をお薦めします。

カードタイプ(テスター棒 直出し式)

カードタイプ(テスター棒 直出し式)

  

ハードタイプ(テスター棒 差し込み式)

ハードタイプ(テスター棒 差し込み式)

これらが、代表的なテスターです。

後者は、やはり、測定する機能も増えますが、電圧、抵抗、導通を測定できるカードタイプでも充分です。(¥2,000.~¥5,000.)ホームセンターや大型電気量販店で、購入できます。(秋葉原の測定器専門店もあります)

今回は、撮影のため、表示部分が大きいハードタイプのテスターを使用し、壁コンセントではなく、床における電源タップを用いて、極性の測定方法を説明することにします。

まず、壁コンセントの電源極性の測定ですが、電気の測定ですから、絶対に濡れた手で作業を行わないで下さい。また、可燃性の物は、付近に置かないようにして下さい。この点に留意して行えば、決して危険なことはありませんので、ご安心ください。

テスター棒の赤と黒を平行のコンセントに差し込んで、100Vを確認して下さい。確認できたら、測定に入ります。(テスターのファンクションは、交流電圧です)

極性の測定方法

テスター棒の片側を握り、もう片方をまず、Hot(短い方)側に差し込み電圧を読みます。この場合は、47Vと表示されています。(キチンと数値が表示されるまで、差し込みます)

次に、Cold(長い方)側に差し込んで、同様に電圧を読みます。

極性の測定方法

ちょっと読みづらいのですが、3.956Vです。

短い方が電圧が高く、長い方が低いということで、Hot、Coldの極性が正しいということになります。この数値は、測定条件により変動するので、電圧の数値の高低で判断できます。測定した電圧の数値が、逆の場合もあります。何度か、測定を繰り返して安定しない場合は、配線が間違っている可能性がありますので、確認が、必要になります。電源タップ等は、簡単に配線作業は、できますが、壁コンセントの配線作業は、資格のある電気工事士に依頼する必要があります。電気工事は、資格が無ければ行ってはいけないことに法律で定められています。めったにないことですが、屋内配線の工事ミスもあり得ますので、壁コンセントの極性も測定することをお薦めします。

さて、壁コンセントの極性も測定して正しい極性と確認できましたら、次に機材の極性の測定方法に移ります。

特に判断しにくいのは、いわゆる平行プラグですね。

平行プラグ

左側にマーキングしてありますが、これは、無かったので、私が付けたものです。「KAWASAKI」とブランド名が刻印されていますが、一般的に頭の「K」が、Hotと言われていますが、確証はありませんので、やはり、キチンとテスターで、測定しましょう。

まず、機材をラックから外して、接続されているケーブル類を取り外します。そして、フィルターなどが内蔵されていない電源タップを用意して、平行の電源プラグを差し込みます。(電源は、OFF)テスター棒の片方をタップのHot側に差し込み、もう片方を機材の金属部に当てて、テスターの数値を読み取ります。

この場合は、51.7Vです。

フィルターなどが内蔵されていない電源タップで測定。(電源は、OFF)

次に平行電源プラグは、差し込んだまま、電源をONにして、同じようにテスター棒を当てがい、数値を読み取ります。

忘れるといけないので、メモしておくと作業がしやすいです。

平行電源プラグは、差し込んだまま、電源をONで測定

測定数値は、56.1Vです。

この差し込み方では、電源を投入すると電圧が、上昇しました。

次に平行電源プラグを反対にして差し込みます。

平行電源プラグを反対にして差し込み測定

測定数値は、50.8Vです。

同じように電源をONにして測定します。

電源をONにして測定

測定数値は、62.0Vです。

理想は、この作業を二度三度繰り返して、データを取りますが、今回は、一度だけにして、話を進めます。平行電源プラグを逆にした時も数値は、上昇しましたが、二回目の方が上昇した数値が大きかったので、一回目の方が、正極性です。

電源を投入した時にキチンと電流が流れていると筐体には、電圧が流れないという考え方で判断します。

通常は、差し換えると下がる場合が、正極性です。

また、今回はRCAピン端子で測定しましたが、アース端子や筐体の無塗装の部分が有れば、より測定の精度は上がります。

今回の方法は、やり方の一つで、他の方法を試した方も有るかと思いますが、最終的には、御自身の耳でも判断できます。何かしら音に違和感を覚える方は、試しに差し込みを逆にしてみることをお薦めいたします。

アース端子付3Pの電源プラグでも機材によっては、逆の場合もありますから、チェックして診て下さい。海外製品は、結構あり得ますよ。

では、長々とお付き合いいただきましてありがとうございました。

次回は、もう少し、電気そのものについて、お話したいと思いますので、お楽しみに。

2010年12月

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