電源物語

Vol.24:「地熱発電とは?」「地熱発電の今後」

随分ご無沙汰しています。

サボっていました。

言い訳をすれば、この記事を参考に書こうと考えていましたが、まとまりませんでした。

 

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 そうこうしている内に猛暑に突入して、夏休みの宿題として読書感想文を書こうと思い立ちまして、ある方に「永遠の0」を薦められまして、1冊だけでは、味気ないので、書店をうろついていた所、目に留まったのがこの本でした。

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とそのままでは、火山か富士山噴火?の類かと思いきや、地熱発電を題材にした小説です。 著者は、かの有名な「ハゲタカ」で、デビューした真山仁氏でした。

TVドラマで、放映していたことは、知っていましたが、原作の小説は、全くしりませんでした。

その流れで、資料や関連書籍を捜してみると、新書コーナーで、見付けたのが、同じ著者のこの本です。

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で、夏休みも終わり、通常業務に戻っていた頃に「ドカ~ン」と来たのが、桜島。

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【2013年8月18日】

上空5000mまで、噴煙が昇り、鹿児島県では、火山灰が降り注いでいるニュースが流れました。

これは、もう、地熱発電のことを書くしかない !! と心に決めましたが、ズルズルと9月になってしまいました。

と前置きは、ここまでとして、これまで電源物語の中で、多少は紹介してきましたが、改めて、「地熱発電とは?」「地熱発電の今後」と言ったテーマで、書き始めたいと思いますので、お付き合いください。

真山仁氏の「地熱が日本を救う」によりますと世界各国の地熱資源量としては、日本は、アメリカ(3000万kw)、インドネシア(2779万kw)に次いで、2347万kwの第3位です。 4位以下を見てみるとグッと下がって、フィリッピンとメキシコが、600万kw、アイスランドが、580万kwとなっています。

しかし、実際に地熱発電として稼働している総設備容量はと言うと、お寒い限りの8番目。 1.アメリカ(309.3万kw) 2. フィリッピン(190.4万kw) 3. インドネシア(119.7万kw) 4. メキシコ(95.8万kw) 5. イタリア(84.3万kw) 6. ニュージーランド(62.8万kw) 7. アイスランド(57.3万kw) 8.日本(53.7万kw) (2010年) つまり、世界有数の資源量を持ちながら、有効に活用されていないことが、現状です。 アメリカは、石油資源に恵まれて、近年は、電源物語でも取り上げたようにシュールガス革命と言われるように天然ガスの資源国でもありますが、世界最大の地熱資源大国でもあることは、ほとんど、知られていません。

環太平洋火山地帯に属する西部を中心にして9つの洲に77か所の地熱発電所があり、総発電量は、約310万kwで、世界一です。

開発に最も熱心なのは、カリフォルニア州で、地熱発電は、同州の5%を占め、中でも、ガイザーズ地熱発電所は、15の地熱プラントに21基のタービンが稼働し、72万5千kwの発電量を誇る世界一の地熱発電所です。

Wikipediaによりますと、「発電機は、電磁誘導によって運動エネルギーを電力に変換する装置である。具体的にはコイルに対して磁石を回転させることで電気を発生させる。」 とあります。

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【四国電力ホームページより】

この運動エネルギーに何を使うかによって、発電の方式が、異なってきます。 例えば、水力発電は、文字通りダムに貯めた水の力でタービンを回して、発電機を稼働させます。

火力は、石炭、石油、天然ガスを燃やして、水を沸騰させて、水蒸気で、タービンを回しますし、原子力は、核分裂で発生する熱を使って水を沸騰させて、水蒸気でタービンを回しています。

地熱発電は、地球のエネルギーである地底に眠るマグマの熱で、熱水となった地下水を地表に取り出して、その水蒸気の力でタービンを回して発電する方式です。 火力、原子力は、エネルギーとなる資源を消費してそこから得られる熱を利用する発電方式です。

これに対して、水力と地熱、風力や太陽光は、その使われるエネルギーを再び戻して、再利用?出来ることから再生可能エネルギーと言われています。 水力と地熱は、その安定性と発電容量の規模から有力な再生可能エネルギーとして2011年3月11日以降、脚光を集めています。

但し、水力発電の場合、大規模な水源は、日本の場合、すでに開発されて、新たな開発は、環境への影響が大きいため、今後は、小水力発電として期待されています。

ここでは、テーマに沿って、地熱発電について、もう少し、考えていきます。 地熱、地球のエネルギーを使うものとしては、日本では、温泉が、ポピュラーです。 いわゆる温泉天国ですね。

先程のアメリカ西海岸と同様に日本も環太平洋火山地帯に含まれています。

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 【Wikipedia より】

 

 

温泉も地中で熱せられたお湯を取り出して使っています。 地熱発電は、温泉よりもさらに深い所にある200℃~300℃の高温高圧の熱水を利用します。 高温高圧の熱水は、地表に取り出す過程で、圧力が下がり、水蒸気となり、地表に溢れ出す水蒸気をエネルギーにしてタービンを回して発電する仕組みです。

そして、発電に使われた水蒸気は、冷やされて熱水に戻り、また、地中に還すことにしています。 そのため、好条件の熱水溜りさえ見つけられれば、恒常的に水蒸気が噴き出し、発電を続けることが、可能になります。

文字通り、循環していますので、再生可能なエネルギーと言えます。 また、地球温暖化の要因の一つとして考えられている二酸化炭素の排出も少なく、再生可能エネルギーとしては、季節や天候に左右されることの少ない発電方式と言えます。

良く、地熱発電は、温泉資源が減衰する、枯渇すると実しやかに言われていますが、 この循環するための還元井戸が、考えられていない時代の発想です。 今は、共存する方向で、互いにWIN,WINの関係となっています。

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http://www.kyuden.co.jp/effort_geothermal_t_hattyoubaru.html

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【九州電力ホームページより】

それでは、日本に17か所ある地熱発電所の中で、最も大きい九州電力の八丁原(はっちょうばる)発電所を紹介しましょう。 八丁原発電所は、阿蘇くじゅう国立公園特別地域の中にあり、標高約1100mに位置し、環境に配慮した景観をしているそうです。 発電所内には、蒸気が噴き出す生産井が、30本あり、その上記の総量は、毎時800tに「なるそうです。 発電設備は、1号機5.5万kw、2号機5.5万kw、バイナリー0.2万kw(*)の3基合計、11万2千kwの発電容量を誇ります。 八丁原発電所は、2km離れた大岳発電所で、運転状況を24時間体制で監視及び管理し、無人運転となっているそうです。 それは、八丁原発電所に限らず、ほとんどの地熱発電所でも同じような体制をとっているそうです。 *バイナリー発電とは、地熱発電の中でも小規模で、建設コストも少なくて済む地熱発電方式です。 例えばアンモニア(-33℃)やペンタン(33℃)など沸点の低い液体を二次媒体として使い、温泉のような比較的温度の低い(約80℃程度)地熱蒸気や熱水で加熱し蒸気を発生させて発電する方式です。 発電後は、媒体を冷却して液体に戻すので循環して利用できます。 九州には、地熱発電所を持つホテルが3つあるそうです。 大分県の杉乃井ホテルと九重観光ホテル、鹿児島県の霧島国際ホテルです。 杉乃井ホテルは、観海寺温泉にあり、国内で初めて1981年にホテル内に地熱発電所を設け、2006年1月まで、稼働させ、同年4月から1900kwの新しい設備に切り替えています。 地下400mに6本の生産井を掘り、ホテルの全使用電力の約70%を賄い、発電の際の熱水は、ホテルの急騰や暖房に二次使用されています。http://www.suginoi-hotel.com/topics/?no=236

九重観光ホテルは、八丁原発電所に程近い黒岩山麓に在り、1998年に550kwで運転を開始し、2000年に990kwに規模を拡大しています。 深さ350mと400mの2つの生産井を有し、余剰電力は、近くの大岳発電所に提供しています。 また、蒸気とともに噴出する熱水も無駄にせず、ホテルの温泉施設に利用しています。http://www.kuju-kh.com/kengaku.htm

 

霧島観光はテルは、1984年から自家用地熱発電を運転してきましたが、2006年にバイナリー発電に切り替え、設備容量は100kw程度で、ホテルの使用電力の20から30%を担っています。 このバイナリー発電は、地中70m~300mに3本の生産井を掘り、沸点27℃の「イソペンタン」を沸騰させて発電しているそうです。http://unit.aist.go.jp/georesenv/geotherm/GPP/kirishima.html

文字通りの地産地消の最たる事例ですね。 

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このように言う事無しの超優良なエネルギーである地熱発電ですが、何故普及が進まないのでしょう? まず、多くの熱水層は、温泉地の近隣にあります。 すなわち、国立公園内にあることになり、環境庁(現環境省)による「国立・国定公園内における開発規制」が立ちはだかりました。 当初は、開発が認められていましたが、当時は、まだ、環境に配慮した開発と言う意識が乏しく、公園内を荒らすような開発が目立ち、19972年に地熱開発の管轄官庁の通産省(現経産省)と公園管理の環境庁との間で、「当分の間、公園内で新たな地熱発電所を建設しない」という覚書が交わされてしまいました。 これによって、すでに開発が進められていた6か所を除き、全て建設不可能となってしまいました。 その結果、これだけ注目が集まっているにも拘らず、1999年の東京電力、八丈島発電所以降、建設が、ストップしています。 また、温泉が枯れると言う、誤った考えが、流布され、温泉組合などの反対もありましたが、前述したように還元井戸を設けることによってそのリスクは無いという関係者の努力によって、その懸念も払拭されてきています。 福島第一原子力発電所の事故以降、電力、エネルギー不足が、問題視される中で、 北海道大雪山国立公園や秋田県栗駒国定公園、福島県磐梯朝日国立公園内での地表調査が、行われ、これから再生可能エネルギーの中核として期待されるようになって来ました。 しかし、一番の根深い問題は、「神の火」「夢のエネルギー」として国策で、推進してきた原子力産業との兼ね合いでしょう。 その辺の詳しい事情は、真山仁さんの「地熱発電が日本を救う」に書かれていますので、 ご一読ください。 どこで、どのタイミングで舵取りを行うかによって、日本の自前エネルギーとして、地熱発電の道が、開けていくことになります。 長くなりましたが、読んでいただきまして、ありがとうございました。

2013年9月9日

 

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