マガジンレビュー
Hi-Zインプットも装備した1チャンネル仕様高級マイク・プリアンプ
GRACE DESIGN Model 101
“テープ式デジタルからハード・ディスクへ”と、MTRの形態が進化してゆく流れの中で、現在EQやコンプ以上に注目を集めているのが音の入り口であるマイクプリである。もちろんマイク事態が変える方がより大きな変化が得られるが、お気に入りのマイクの能力を最大限に引き出すにはマッチングの良いマイクプリの選択が不可欠なのだ。今回チェックするGRACE DESIGN Model 101を筆者なりに一言で紹介すると“GRACE DESIGNの定評あるトランス・サウンドが最も低価格で手に入り、しかもHi−Z入力やフォーン・アウトまで付いてくるお買い得品”という感じだ。各社からぞくぞくと発売される高級マイクプリの中でも、手に入れやすい注目の1台と言えよう。
Hi-Zも装備してライン録りにも最適
GARACE DESIGNのマイク・プリアンプ・シリーズにはフラッグシップ・モデルで8ch仕様のModel 801、そのリモートコントロール仕様版であるModel 801R、2ch仕様のModel 201が既に発売されており、レコーディング・スタジオやヒール録音などで活躍中だ。今回紹介するModel 101は同シリーズの品質をそのままに1ch仕様にすることで低価格化、さらにフォーン・ジャックの入出力端子も装備して、自宅録音ユーザーまでをターゲットにできる仕様となっているのが特徴である。また、このシリーズとは少し回路が違うが、モバイル録音用に電池駆動も可能なLunatec V2も人気があり、既にさまざまなアーティストが導入済みだ。それでは、Model 101を詳しく見ていこう。
ますボディは1Uの高さでハーフ・ラック・サイズ、小型の外部ACアダブターが付属する。本体はコンパクトながら適度に重量感があり“ケーブルを挿入して作業中にゴソゴソ動いてしまって困る”といった心配も無い(底面にはマウント用のネジ穴もある)。
背面のマイク・インプットからの入力はゲイン・コントロールで+10dB〜+60dBを5dBステップで増幅できる。さらに後段のトリムでアウト・レベルを0〜−10dBで微調整が可能だ。また、前面に用意されたフォーン・ジャックのインストゥルメント入力には、Hi-Z(ハイ・インピーダンス)のギターやベースを直接挿すこともできる。こちらは−10〜+40dBの範囲での増幅となるので、比較的出力レベルの高いシンセ等にも対応可能なのがうれしい。背面のアウトプット端子はXLRに加えて、バランス・タイプのフォーン・ジャックも容易、どちらも+4dBuのレベルで出力が可能だ。本機の後ろに接続する機材に合わせて出力端子が選べるのはとにかく便利だ。コンデンサー・マイクの電源供給に使う48Vファンタム電源ももちろん装備し、これは前面パネルのスイッチでオン/オフができるようになっている。
10dBまでのトリムやハイパス・フィルターも搭載
レベル調整用のLEDは縁が−20dBu、赤が+16dBu(クリップの10dB前)で点灯する。ここで注意したいのは、本機のピークLEDはトリム・コントロールの前の信号をモニターしており、“トリムを上げ下げしてもこのLEDの点灯には関係ない”ということだ。さらにこのLEDが赤に点灯するのは、ここがクリップする10dB手前であることをしっかり認識しておこう。つまりLEDがときどき赤く点灯するぐらいのゲインが、たいていの場合は適正レベルだということだ。
また、トリムはなるべくMax(右側)に近い方で使った方がロスが少ない。後段につなぐコンプやMTRへの入力調整や、曲中での部分的なレベル変更などの必要に応じた微調整に使用する。さらにこのトリム・ツマミが物理的に大きいのはかなり使いやすくて重宝する。
ハイパス・フィルターは75Hz/12dBオクターブのオン/オフのみ。100Hzでも1.5dBほどカットされるので、割とバッサリと低音が無くなる。例えば、ライブ録音でのコーラス用マイクなど思い切った処理が必要な場合には便利なスイッチだ。
抜群のリアリティを生み出すスムーズな高域の伸び
今回はアマチュア・ユースからプロ仕様まで数種類のプリアンプやDIボックスと聞き比べてみた。本機の音色はやはり高域の伸びがダントツに素晴らしい。特にコンデンサー・マイクを使ったときの、皮物パーカッションや金物のリアリティは抜群だ。加えて、しっかりとした低域が存在するので、決して堅くは聴こえず、スムーズに抜けて高級感があるという音色だ。しかも安価なヘッド・アンプでは何かと気になる歪み感(心地良い歪みでなく不快な歪み)が、本機では全く感じられないのがさすがだ。トランスを使ったNEVE系の中低域の野太い感じとは対極だが、こちらも非常にバランスが取れた音楽的サウンドだと思う。
さらに安価なダイナミック・マイクをつないでボーカルを録ってみても、高域の差は歴然でハッキリと心地良い子音が得られた。女性ボーカルに向いたサウンドと言えよう。オンマイクでも暑苦しい音像にならないところが本機の特徴である。
また、Hi-Zインプット側のサウンドもマイク・インプットに近いキャラクターだが、これも他機種では得難いサウンドを持っていて魅力的。実際国内ではDI類としても評価も高いようで、特にアコースティック・ギターにピッタリとのことだ。今回アクティック・ピックアップのベースもつないでみたが、専用DI類とはまた違った方向性でいいサウンドが得られた。シンセ類はダイレクトにMTRへ送るよりも音像が整理され、リズム系もハッキリとしてくる。
model 101 in Electronic Musician by Myles Boisen
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