リボンマイクとは?
リボンマイクは電磁誘導の原理をそのまま形にしたようなシンプルな原理のマイクロホンです。電磁誘導とは磁界中にある導体が動くと導体に電位差が発生し電流が流れる。そうですフレミング右手の法則です。この導体を帯状(リボン)にすると空気振動を受けることができ、導体の振動から電気信号を得る事が可能になります。リボンは空気粒子の変位に逆らうことなく振動しなければならないので、極々薄く作られ軽量化を図っています。導体の材質には一般的にアルミニウムの薄く延ばした物(アルミ箔)が使用されます。その厚さは0.5〜2μm程度しかなく圧倒的に薄いために壊れやすく、かなりデリケートです。保管状態によってはリボンが伸びて戻らなくなってしまうなど、取り扱いにとても注意が必要です。
導体に発生する電位差は磁力と変位速度と導体の長さに比例します。この事から導体であるリボンを蛇腹状にし長さを稼ぎ出力を上げています。しかし、大きな出力を得ようとリボンを長くすると今度は周波数が高い振動についていけなくなります(高域のレスポンスの低下)、また重量が増し空気粒子の振動の妨げになってしまいます。出力レベルと周波数特性は常にトレードオフです。この部分の解釈の仕方に各リボンマイクメーカーの特色が一番現れているのではないでしょうか。
Crowley and Trippではリボンマイクの欠点とされていた
・高い音圧に耐えられない
・吹かれに弱い
・取り扱いが大変
・周波数特性(特に高域)の限界
・出力が小さい
といった従来の欠点を見事にクリアし、新たなリボンマイクの可能性を広げています。
リボンマテリアルの変更
従来のリボンマイクの振動帯(リボン帯) は極薄いアルミ箔でした。従来の技術ではベストな選択だったからです。
Crowley and Trippではその振動板の素材に最先端のナノ素材であるカーボンナノチューブを採用。リボンマイクの欠点とされてきた部分を改善しています。
カーボンナノチューブとは
・アルミニウムの半分の軽さ
・鋼鉄の20倍の強度
・しなやかな弾性力
・電気を通しやすい
といった特徴を持つ半導体、医療機器、宇宙工学といった分野からも注目を集めている新素材です。その特徴から軽さと強度の両立を実現しています。質量を小さくできれば速い周波数の振動にも正確な追従が可能になり、コンデンサマイク並みの周波数特性が実現可能です。またその強度から高い音圧にも耐え機種によってはMax SPL146dB以上(測定限界値以上)を確保しいてる物もあり、バスドラムやジェット機のサウンド収音に使っても壊れることはありません。厳しい使用にも耐える高い強度を備えスタジオやライブサウンドなどにおいても安心して使えるのです。また音楽的にもカーボンナノチューブは素晴らしく、繊細さに溢れたリボンらしいナチュラルなサウンドを達成できます。
コンデンサ型、リボン型の違い
・音波の検出方式
コンデンサマイクは音を、振動板を押す力(または引く力)、圧力=音圧として検出します。振動板にかかる音圧が動かした振動板の位置情報の連続データを音声信号として取り出します。
リボンマイクは音を空気粒子の移動速度の変化により検出します。音(空気粒子の振動の伝搬波)が到達すると振動帯は空気粒子の振動と一緒に振動します。リボンは磁界の中に置かれていますので電磁誘導により、導体であるリボンの移動(振動)速度に比例した起電力が得られるのです。振動そのものを電気信号として取り出ているのです。
・エレメントの反応
コンデンサマイクの振動板は固く張られていますので外部からの力には“耐える”動作となります。同時に振動板と固定電極がショートしないように可動範囲を制限するためにも重要な構造となっています。このことから音圧の高い音に対しては振動板の動きが制限されてしまい、圧縮感を伴ったサウンドと感じられる事も少なくありません。
リボンマイクの振動帯は吊るされている状態ですので外部からの力に対しては“逆らわない”動作をします。リボンがダメージを受けない範囲であれば、高い音圧に対しても振れ幅を制限される事なく振動し、電気信号へと変換する事が可能です。
コンデンサーマイクロホン

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リボンマイクロホン

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| 振動板がバックプレートに接触しないよう振幅制限される |
振動帯がブラブラ吊るされていて制限なく自由に動く |
コンデンサーマイクは振動板とその直後に配置されるバックプレートで形成されている。その距離僅か10μm、接触を避けるため振動板はピンと張られ、可動範囲が制限される。
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リボンマイクロホンの振動帯は蛇腹に折られ磁界の中に吊るされた状態で、空気粒子の振動にリニアに追従。
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<実際の試聴コメント>
『コンデンサーでオンマイクだと瞬間的な音圧に対して振動板の可動範囲の制限があるからコンプレッション感があるんだけど、このNaked Eyeリボンマイクロホンにはそれがない。アタックのスピード感も綺麗にひろえます。』(フリーダムスタジオ様)

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<From Mr.Crowley>
『テープが録音に使用されていた時代にはコンデンサーマイクが構造的にスネアドラム的である事を気にする事はありませんでした。しかし現在のデジタル録音のレゾリューションにおいてはコンデンサーマイク特有の粗さや耳を疲れさせるような音質がどうしても気にかかってしまうのです。リボンマイクはドラム的ではなく、ストリング的だと言えるでしょう。より軽く、より反応性に優れます、結果スムースでクリアーなサウンドが得られるのです。このサウンドこそデジタル録音に求められているサウンドなのです!』 |
・音場に対する振動体の存在
マイクロホンを音のセンサーとして考えた場合、音場に何も無い時とマイクを置いた時で状況が変わってしまっては正確な収音ができているとは言えません。コンデンサ型は”耐える“動作ですのでコンデンサマイクが置かれたときは音場に対して振動板は邪魔な物となり伝搬する音波を変化させ不要な音圧上昇(回析現象による高域の上昇)などを招いてしまいます。
対してリボン型は”逆らわない”動作となります。リボンの存在は無視できる程度ですので、伝播してきた音波はその後方へと通り貫けていきます。自然の状態を崩さずにセンシングできるため、リボン型のナチュラルな音質に貢献しているのだと考えられます。
・マイキング

一般的に音波は球面波となりますので、音源の近くでは音圧は距離に比例して小さくなるのに対し、空気粒子の移動速度は距離の2乗に比例して小さくなります。そのため、音圧を検出するコンデンサ型に比べ、粒子速度を検出するリボン型は距離が離れると極端に感度が低下してしまうのです。逆に音源に近い部分では近接効果による影響が大きくなります。このようにコンデンサ型とリボン型には音源からの距離による感度の違いがありますので、この特性をよく理解してマイキングを行う必要があります。
by セカンドスタッフ技術部