【GERMANIUM TONE CONTROL】
技術解説
・LINE AMPLIFIERセクション
ラインアンプの多くは回路上の2箇所の抵抗の抵抗値の比を変えることで増幅度を決定しています。一般的には片方を固定しておいて、もう一方を可変する事で抵抗値の比を変え、GAINを設定します。チャンネル当たりのGAIN調整のツマミは当然一つです。CHANDLER LIMITED GTCのラインアンプは、同様に抵抗値の比で増幅度を決定するのですが、2箇所とも可変にしてサウンドにバリエーションを付けられるよう工夫しています。GAINツマミを上げていくと倍音が付きやすく、ソリッドかつリッチなトーンに、FEEDBACKツマミを上げていくと倍音は増え音像が前に出てきますが、きつくなり過ぎずマイルドな印象に、それぞれ異なった傾向にあります。同じGAINが得られる設定でも何種類ものパターンが生まれます。この従来にないサーキットデザインはラインアンプとしての役割を超え、GTCのトーンバリエーションの重要な要素の一つとなっています。

・THICK CUT/BOOSTセクション

THICKはLOW EQセクションです。特徴的なのはコイルとコンデンサよる共振を利用したパッシブイコライザーだという事、INDEPENDENTとINTERACTIVEという2種類のモードを選べる事この2点です。パッシブイコライザーについてご説明いたしますと、その名の通りパッシブ素子(抵抗、コイル、コンデンサなど)のみで組まれたイコライザーの事ですが、コストや回路規模の面でプロオーディオの機材においても現在の設計では採用される事はなくなってきました<orありません>。コントロールのし易さ、周波数特性の精確さ、歪率といった面ではトランジスタやOPアンプを組み合わせたアクティブEQにはかないません。しかしこのGTCでは何よりも音を最優先しデザインされており『トーン』への強い拘りが感じられます。コイルとコンデンサーによるLC共振回路のEQは適度な倍音を含み、音楽的な響きを与えます。また、BOOSTにおいてはコイルを単巻きトランスとして使うことでGAINを得ており、図太く有機的な力強さはまさにヴィンテージサウンド。電源電圧での制限がないため共振回路部分での不用意なクリップも起こらないのもパッシブ回路の利点です。

INDEPENDENT MODEではCUTとBOOSTそれぞれが独立した一般的な効き方をするのに対し、INTERACTIVE MODEではTHICKセクションの全ての設定が相互干渉し、一つのトーンシェイプを創り出すような動作をします。例えば70Hzをブーストし、240Hzをカットした場合には、INDEPENDENT MODE ではセッティング通り一般的なイコライジングができます。INTERACTIVE MODE では350Hz付近がドロップし70Hz付近にピークがきます。70Hzをブーストし、320Hzをカットすると今度は450Hz付近がドロップし70Hz付近にピークがきます。CUT/BOOSTの量によってもディップ/ピークの周波数に相関します。このようにINTERACTIVEモードは低域のコントロールをよりクリエイティブに、エンジニア<オペレーター>の想像を超えた”生きたEQカーブ“を生み出します。
・PRESENCE/TREBLE

PRESENCE/TREBLEはMID/HIGHのEQセクションです。THICKとは異なりPRESENCE/TREBLEはトランジスタを用いたアクティブイコライザーですが、LC共振回路の昔ながらの方式を採っており、音像の押し出し感や滑らかなハイエンドはLC方式の魅力の一つです。PRESENCEは±15dB、TREBLEでは±18dBものCUT/BOOSTが可能ですが、極端な設定をしたときもLC方式特有の自然なイコライジングカーブを描きますので嫌みな感じにならず、積極的なアプローチでも、元々そのトーンだったかのような音楽的に極自然なトーンクリエイトを実現します。
サンプルセッティング

スネアドラム:
GAIN (Germanium Drive)を高めにFeedbackを低めにセットしEQを全てオフにした状態だけでもスネアのスナップが強調された印象的な音質になります。GAIN (Germanium Drive)を低めにFeedbackを高めにセット した場合にはよりパンチ感とローエンドが強調されてきます。EQではPRESENCEとTREBLEのコントロールがスムースでハーシュなアタックに効果的です。ミックスの中でスネアの存在感がぐっと増すのに対してピークレベルはそれほどでもありません。
キックドラム:
INTERACTIVEモードはキックドラムに最高です。簡単にロックな太いキックサウンドが構成できます。240Hzをスクープして70Hzを強調したマッシブなサウンドは素晴らしく響きます。
エレクトリックベース:
EQを効果的に使うとDIのライン素材がアンプをマイク録音したかのように音楽的になります。ノートの1音1音がクリアーに聞こえる中、低域がしっかりトラックの中で存在感とともに座っている、ラウンドでファットなサウンドです。INTARACTIVEモードは混沌としたミッドレンジの修正に最適です。
ハイハット:
INDEPENDENTモードでのEQ で16Kをブーストすると空気感が見違えます。ハイファイ寄りのサウンドアプローチもなかなか素晴らしい。
エレクトリックギター:
周波数のセレクトがギターに最適!ギターのサウンドを本当に歌わせるようなEQが可能です。
アコースティックギター:
GAIN (Germanium Drive)を低めにFeedbackを高めにセット した場合ハイエンドはスムースに、ピックのアタックがブライトに響きました。GAIN (Germanium Drive)を高めにFeedbackを低めにセットした場合には(ゲイン5、フィードバック5)、とてもナチュラルなサウンド、EQを使用するとギターのキャラクターを大変よく表現できます。20kHzを6のっポジションにするとギターが一気に高級感をもったサウンドになりました。
ボーカル:
ボーカルトラックにスムースなハイエンドを与え、オープンなサウンドになります。20kHzのシェルビングカーブでのブーストは心地良いエアー感をトラックに与えます。ローカットはローエンドの不必要な帯域をボーカルトラックが決して細くなることなくカットできます。PRESENCEセクションはボーカルを引き締めトラックの中での存在が素晴らしくなります。
2ミックス:
様々なセッティングで全く生き生きとしたサウンドに2ミックスをよみがえらせることができます。
"僕が思うにこれは最も音楽的なサウンドのするEQだ!例えれば紙のように薄いスネアの音質がたちまち電話帳くらいの厚さになるといった具合だ!ローエンドのコントロール性は信じられないほどだ、太くラウンドなベーストーンから分厚いキックまで、さらにトップエンドはスゥィートでパワフルだ。このEQがもつ独自のフレキシビリティーとコントロール性は何とも比較することができない。" Joe Barresi
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