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ゲルマニウム・コンプレッサーの分析 PT1

普通ではない、このCOMPRESSOR。個性豊かなこのMACHINEのコントロールも開発者であるウェイド・ゴーク氏の意思が強く現れています。例えば、アタック感をもっと出したい時、普通のコンプであればアタックタイムを調整し好きなポイントを探すのが普通でしょう。このGERMANIUM COMPRESSORでのサウンドメイキングの場合は“もっとこうしたい”と言う目的に対して何通りかのアプローチができます。サウンドメイキングのヒントにもなる各コントロールを様々な視点から検証していきます。

アタック感のコントロール

・まずは一般的なATTACKタイムのコントロールです。通常のコンプレッサーと同様、圧縮動作をし始めるタイミングを遅らせ、アタック音を残す事でアタック感をコントロールできます。

・GERMANIUM COMPRESSORにはWET/DRYのミックス機能があります。深くコンプレッションしたWET音に原音を混ぜる事でとても自然で抜けのよいアタックが得られます。また強調されたアンビエンスによりライブ感/グルーブ感に満ち溢れた、活き活きとしたサウンドになります。ドラムやボーカルはもちろん、あらゆる音源にとても効果的です。

・SIDE CHAIN機能からもアタック感をコントロールできます。例えばフィンガーピッキングのアコースティックギターの高域をコンプレッションしたい場合が多くあります。しかし5弦6弦のベース音にコンプが過剰に反応してしまい効きが不自然になったり、音楽的に一番聴かせたい所をゲインリダクションしてしまい、イメージと違うものになってしまう事が多々あります。SIDE CHAINはどれくらいコンプレッション量をコントロールする回路に送る信号から低域をパス(カット)機能ですので、低域成分を多く含む5弦6弦の音に対して反応が弱くなります。結果、高音弦のエンベロープを的確に検出でき、一音一音がはっきりと自然に響くようになります。同時にベース音のニュアンスが増し存在感のあるものとなります。

同じような理由からドラムやベースなどにも大変有効な機能といえるでしょう。

質感の付加・調整

この項目に関してはとても多くのアプローチが可能です。従来のコンプレッサーには倍音などのサウンドの色をコントロールするセクションは当然ありません。GERMANIUM COMPRESSORはあらゆるセクションにおいてサウンド質感のコントロールを付加しています。

Wet/DRYによりDRYに倍音成分を多く含むWETを足していく感じで使用するとコントロールしやすいと思います。DRYに回しきったところでINPUTを上げていくとそれだけでも倍音が付加されてきますので、発生しやすい動作をさせるのがポイントです。そこからWETをミックスしていきますと、太さや粗さなどと感じられる成分がWETによって足されてくるのが分かると思います。ATTACK、RELEASEでも倍音の付き方は大きく変化しますので左右に回してみて下さい。

“アクの強さ”的な要素はSIDE CHAINやRATIOを上手く使うと良いでしょう。

GERMANIUM COMPRESSORのGERMANIUM DRIVEは最終ゲインを決定すると同時に全体のトーン質感を自在に操ります。

このゲインコントロールはFeedback コントロールとの相互関係から出力ゲインを決定します。同じ増幅率を得る場合でもGAIN とFEEDBACK の組合せ位置が複数存在し、この組合せによって増幅ゲインは同じでも、様々なトーンバリエーションを得ることができます。

Wet/DRYをDRYに回しきった状態でこのGERMANIUM DRIVEのみを使うと(コンプレッサー部分はバイパス)、サウンドに色付けのみを行う新たなデバイスとして使用することができます。




ゲルマニウム・コンプレッサーの分析 PT2
COMP CURVEの秘密

CHANDLER のベストセラー アナログコンプレッサーGERMANIUM COMPRESSOR、その優れた音楽性と個性を支えるCOMP CURVEの機能について電気的な検証を行いました。

COMP CURVEの設定の違いを見るためにINPUTやRATIOなど他のパラメーターを一定にしCOMP CURVEを切り替えて 入力 対 出力 特性をグラフにしました。

INPUT vs OUTPUT


INPUT = 10
SIDECHAIN = OUT
RATIO = 5
MIX = wet 5
ATTACK = 0
RELEASE = 0
GREMNIUM DRIVE = 1
FEED BACK = 10

一番上のグラフ線からR soft →GERM Soft →GERM Mid →SILICON Mid → SILICON Hard →ZENER Hardと本体のパラメーターの通りに並びました。COMP CURVEを切り替えるとスレッショルドレベル・レシオニー特性とレベルに関するパラメーターの全てが同時に変化している事がグラフから読み取れます。コンプレッションのキャラクターを大きく左右する、その名の通り COMP CURVEに相応しい変化です。

1, スレッショルドレベルはR soft → ZENER hardの切り替えに対し、低くなる。
2, レシオはR soft → ZENER hardの切り替えに対し、ゆるくなる。
3, ニー特性はR soft → ZENER hardの切り替えに対し、緩やか(ソフト・ニー)になる。

それぞれのポイントに付けられた名称はsoftやhardという言葉からニー特性に由来するものと想像しがちですが、R softより ZENER hardの方がソフト・ニーとなっています。対してスレッショルドレベルは低くなり、COMPRESSORの動作としては深くなっていきます。出音の印象から名称を付けているあたりに音楽性を最重視する CHANDLERのデザイナーであるウェイド・ゴークらしさがでていると思います。

全体的に見ると入力が10dB以上で大体同じようなレベルになっており、COMP CURVEを切り替えても音圧感は揃うようになり設定を決める上での音選びがストレスなく行えます。また、レシオがきつくなるとほど強く押さえ込みますのでスレッショルドを高いポイントに置いた方がダイナミックレンジが有効に使え、S/Nの面でも有利になってきます。入力がスレッショルドから、さらに20dBほど高くなったあたりからは一定のレシオを保てなくなりコンプレッションが甘くなっています。これはヴィンテージのコンプ/リミッターによく見られるカーブで、レベルを正確にコントロールしなければならない用途ではこれは失格です、しかし音色をクリエイトする上では非常に都合が良く、強く抑えすぎて不自然になってしまう現象が低減され、これがヴィンテージタイプのコンプ/リミッターが高く評価される要因の一つとなっています。

R soft/GERM softは良く似たカーブを描いており、高めのスレッショルドときつめのレシオ、比較的ハードなニー特性となっています。スレッショルドが高めに設定されていますのでコンプの掛かりは浅く感じられますが入力レベルが大きくなるに連れてしっかり掛かってきます。アタック感を出し粒立ちを揃え、自然さを保ちながらも音にメリハリを出したい場合などにはたいへん有効なモードとなります。

GERM mid/SILICON midではスレッショルドが下がり、ニーは緩やかになっています。スレッショルドが下がりますので深くコンプレッションされるようになりますがレシオとニー特性は緩やかになっています。独特の音圧感と芯の通ったサウンドは印象的。INPUTを調節することでナチュラルなコンプも演出できます。

SILICON hard/ZENER hardは非常に滑らかなソフト・ニー特性、極上のビンテージ感が加わり、さらに強烈な圧縮感が得られるこのモードは積極的なサウンドクリエイトに最適です。アタックを潰しサスティン、アンビエントを強調したライブ感あふれるラウドサウンドを作りだすのに最適です。さらにWET/DRYを調整し原音を混ぜていくことでアタック感も両立させたGERMANIUM COMPRESSORでしか出せないコンプレッションサウンドが得られます。

ここで挙げたサウンドパターンの傾向はそれぞれの設定に対してのほんの一部にすぎません。COMP CURVEのセレクトに加え他のSIDECHAINやATTACK・RELEASEそしてWET/DRY、更にはGermanium DriveとFeedBackのゲインセクション、これらの使い方によってはクリエイトできるサウンドバリエーションは限りなく広がります。

実はこのGERMANIUM COMPRESSORは適当に触っていても使えるサウンドに素早くたどり着く事が可能です。しかしパラメーターによるサウンドの変化傾向を理解する事でさらにカッコイイ、バリエーション豊かなコンプレッションサウンドを引き出す事が出来るでしょう。

感覚的にいじって音を楽しむ方にも、時間を掛けて無数のサウンドキャラクターを試してじっくり取り組む方にも、間違いなくご満足いただけるコンプレッサーだと自信を持ってお勧めしたいと思います。


解説:セカンドスタッフ技術部