製品レビュー

レビュー:

BLOSSOM

BLO-3090

音楽至上主義、研ぎ澄まされたサウンドクオリティー マスター・ボリュームコントローラー機能を備えた音声出力 バランス駆動型ヘッドフォン専用出力 インピーダンス&ゲイン切り替え、様々なヘッドフォンに対応 優れた音質と操作性を兼ね備えたE.C.A.回路と、多機能な動作モードを制御するB.E.C.S.回路を搭載 独自の制振構造とハイテクマテリアルの融合デザイン 詳細スペック 周波数特性 全高調波歪率 TH...

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3090_0299_headphone

浜村航平 様

今回は音響エンジニアの浜村航平様に弊社ショウルームにお越しいただき、”BLO-3090 Reference Monitor Amplifier”のヘッドフォンアンプ機能を中心に試聴していただきました。浜村様はご自身もBLO-3090の前身モデルである”BLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.(Electronic Controlled Attenuator)”をご愛用とのことですので、実際に両機種を聴き比べながら、レビューをしていただきました。

ビックリするくらい音楽の鳴り方が違う!

オプティマソリトン(以下OS): 本日はBLOSSOM BLO-3090の試聴のお時間をいただきまして、ありがとうございます。BLO-3090はプリアンプ+バランス駆動対応ヘッドフォンアンプの機能を突き詰めたアナログアンプの複合機としての設計がなされています。それに対して以前のモデルであるBLO-0299及びBLO-0299 Auditoriumは、RCAアンバランスのラインアウトをステレオ1系統備えてはいるものの、ほぼヘッドフォンアンプに特化した設計の製品でした。そこで、今回は普段ご愛用いただいておりますBLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.と新しいBLO-3090のヘッドフォンアンプ部分に焦点を当て、その音質や機能性の違いについて比較試聴をしていただきたいと思います。

浜村様(以下H): 分かりました。それでは先入観を持たないように、BLO-3090の音質的な特長のことは聞かずに試聴していきましょう。

ヘッドフォンは普段から使っている”AUDEZ’E LCD-2 Rev.2 Balanced”と”beyerdynamic T1 Balanced”を持って来ました。先ずは普段聴きなれたBLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.から…。うん、自宅とはシステム上流のトランスポートやDACの違いこそありますが、当然いつもと同じ音ですね。BLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.は広大な音場と解像度がありながらもウォームなトーンです。特性はフラットで、音場が広く、その中に音像が前後左右に3D感覚で定位するのが特長ですね。

OS: 初期のBLO-0299のサウンドは広い音場とウォームで濃厚なトーンが特長でしたが、BLO-0299 Auditoriumではサウンドがタイトになり個々の音の分離も良くなりました。それによって広い音場の中に音像が「点」で存在するようになり、3D感覚の空間表現に繋がりました。更にBLO-3090のE.C.A.回路を元にした電子ボリューム・キットを搭載したBLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.では、音声信号がボリュームポッドを通過しないため、左右のチャンネル間のエラーが無くなり位相特性が大幅に向上しましたし、音質も一段とクリアーになっています。センター定位はしっかりと決まり、音像の存在感が増しています。また、出力レベルが6dBアップしていることと、ヘッドフォンゲインの増幅レベルが以前の+10dBから+6dBに変更となっています。これはBLO-3090のそれと同じ比率です。

H: その定位の良さ、音の分離の良さがLCD-2やT1といったハイエンドクラスのヘッドフォンのポテンシャルを上手く引き出していて、とてもバランス良く聞かせますね。それでは新しいBLO-3090を聴いてみましょう…。

ん!? これは何でしょうか!? 一聴して全然違いますね。ビックリするくらい音楽の鳴り方が違います。この一聴では何がどう違うのか一言では言い表せませんが、BLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.と比べてサウンドが大分異なるということに加えて、それを含めた世の中に多数存在するヘッドフォンアンプというもの自体の鳴り方と世界観が違うような感じがします…。最初に感じることは天井が随分高いというか、ダイナミックレンジが凄く広いですね。また奥行き方向の音場がBLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.のそれと比べると随分と深くなっています。

OS: そうですね、おっしゃるとおりです。BLO-3090とBLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.では一聴して判るほど音楽の鳴らし方が違います。ダイナミックレンジはかなり広くなっていますし、S/N比も改善されています。この2点だけを取っても音楽の印象は大分異なりますよね。また、音像や音場の表現の仕方にも大きな違いがあると思いますが、そのあたりはどのように感じますか?

H: そうですね、音像はBLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.でもしっかりしていてリアリティーがあると思っていたのですが、BLO-3090のそれは次元が違いますね。非常に自然な在り方で実物大の音像を体感できますし、これは音場再生や空間表現においても全く同じです。センター定位がしっかりとしていて、ステレオ感は極めて自然です。音楽の鳴り方がオーガニックで実体感に溢れ、何だかヘッドフォンで聴いている音ではないような気がします。スピーカーで聴いている感覚にかなり近いです。これは凄いですね! うん、良いです、この鳴り方は。音質のバランスは極めてフラットで変な癖が全くありませんし、解像度も一段と上がっていて非常にクリアーです。しかし高解像度系の機種によくある腰高で表面的な鳴り方ではなく、グッと低重心で安定感があり音色も深いです。音の分離もとても良いのですが、BLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.のそれと比較するとわざとらしさがないというか、凄く自然ですし、余韻や響きも綺麗に繋がっています。また、能率の低いLCD-2やインピーダンスの高いT1も十分にドライヴしていますし、非常に制動が効いていて音がしっかりと止まります。何だかBLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.から全体的に随分とレベルアップしていますね。

実際の生演奏の音量に近づくほど、本物のトーンや躍動感のとおりに再生

OS: そう感じていただけましたか。BLO-3090の開発において最も重視した点は「優れた音質のラインアンプを造る」ということです。そしてBLO-3090は実際にラインアンプ(プリアンプ)としての機能性を確立していますが、その出力方式の一つとしてヘッドフォンアウトがあるわけです。よってBLO-3090からのサウンドはスピーカーシステムからもヘッドフォンからも同じような音色やバランスで鳴るようになっています。BLO-0299の頃はヘッドフォンアンプからの出音のみに焦点を当てて音決めをしていたため、どうしてもヘッドフォン特有の音場や定位、ピークのある周波数特性に合わせた設計やチューニングになっていました。結果、非常に多種多様な機種の存在するヘッドフォンに対して、「合う・合わない」といったことがありました。もちろんスピーカーにも多種多様な機種がありますが、そこには必ず「ルームアコースティック」という絶対的に不動なハウジングが存在しますので、それにてバランスを取りながら調整をします。しかし、ヘッドフォンにはそのハウジングが機種によって異なるため、スピーカーシステムのそれと比べて非常に多様になり、また極端な特性のものが多く存在するのです。これに対してそれを助長する普通のヘッドフォンアンプを造っていては、そこに真の音楽の姿は見られないと考えました。

H: なるほど、それでBLO-0299を始めとした一般的に「ヘッドフォンアンプ」といわれるものに対して、BLO-3090はこれほど音楽の鳴り方が自然で、部屋でスピーカーシステムを鳴らしているのに近いバランスになっているわけですね。”Reference Monitor Amplifier”とはそういった意味からついたタイトルなのでしょうか。

今回実際に両モデルを聴き比べてみて感じたことですが、確かにBLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.は所謂ヘッドフォンアンプの鳴り方をしています。メインの音もサイドの音も背後で鳴っている音も全てが良く聴こえ、一面に広がっています。これはこれで個性や存在感がしっかりとあって良いと思いますが、BLO-3090の出音は正直言って別格です。根本的に世界観が違います。これはもう頭内定位の中で聴くヘッドフォン・モニタリング(リスニング)の狭い世界に対してのヘッドフォンアンプの仕事はしていませんね。本当にスピーカーライクで実体感に溢れていて、音楽がとてもオープンです。音像の大きなものは大きく、小さなものは小さく、メインの音は存在感があり、サイドの音はそれに寄り添い、背後の音は引き立てるようにバランスしています。音楽は奥行き方向に深くとてもディープですね。音量を上げても決して音楽が破綻することがありませんし、むしろ実際の生演奏の音量に近づければ近づけるほど、本物のトーンや躍動感のとおりに再生しますね。しかも周波数特性に変なピークが無いので、ヘッドフォンで音量を上げて聴いても耳が疲れたりしません。このこともBLO-3090でドライヴしたヘッドフォンの鳴り方が、今までのものとは違った印象を持つ一因かも知れないですね。これを聴いてしまうとBLO-0299 Auditorium w/ E.C.A.は結構作られた音の鳴り方をしているように感じます。

OS: BLO-0299に限らず、世の中のヘッドフォンアンプの多くはそのようです。先ほど申し上げたようにヘッドフォン自体が個性やピークの固まりですから、それを電子回路的に特性良く増幅するだけでは楽器本来の音色や音楽の本質は表現できません。こと音楽信号を扱うオーディオ機器に対してはスペック有りきではないと思います。オーディオ機器の設計または音決めをする者の中には、実際に本物の楽器の演奏ができて、その音色を良く把握している「音楽家」が必要です。また、それを良い部屋とマイクで録音することができる「録音技師」も必要となります。開発陣に音楽家も録音技師もいなければ、その機器から出力される音色や音像、ダイナミクスやハーモニーが実物と同じように存在しているのか判断することは難しいと思います。BLO-3090の開発においては、もちろんそのような人物が携っていますし、スペックだけに拘ることなく”Musical fidelity”に重点を置いて造り上げました。音量とトーンやダイナミクスの関係についてもそうです。実際の演奏の音量に対して明らかに小さいBGMレベルのときに、濃密で躍動感に溢れたサウンドを出すことは極めて不自然です。そのまま音量が上がっていったらどうなってしまうのでしょうか。ただうるさくなるだけではないでしょうか。BLO-3090では小さな再生音量のときは音楽も小さく弱く、メリハリもありません。これは実際の音楽の鳴り方がそうだからです。そして、音量を上げていってリスナーがSPL(サウンド・プレッシャー・レベル)を感じるに従って音楽に躍動感が生まれ、トーンも深まり多彩になります。これも実際の音楽の鳴り方がそうだからです。 そしてまた、スピーカーシステムもそのようにバランスして鳴ります。しかし、世の中のヘッドフォンやヘッドフォンアンプの中にはどのような音量でも常にビンビンと音が立っていて、トーンも強く色付けされたものもあるようです。 BLO-3090は徹底的にMusical fidelityに拘って音決めをしました。ですから音量も音色も躍動感も、全ては実際の楽器や歌声のとおりに再現するようになっていると思います。これは当然スピーカーシステムでもヘッドフォンでも全く同じように鳴らなくては意味がありません。”Reference Monitor Amplifier”とはそういった意味を込めてのものです。

スピーカー再生と遜色のないヘッドフォン再生を実現した意欲作

H: なるほど、良く分かりました。音楽を再生すると言うことは、全くそのとおりですね。BLO-3090のヘッドフォンアウトからの再生特性であれば、実際の演奏やスピーカーシステムからの再生のようにガンガン音を鳴らして浴びるように音楽を聴いても耳に負担は掛かりませんね。特に自宅ではスピーカーシステムを大きな音で鳴らすことは難しいですから、ヘッドフォンでそのように再生できることは非常にありがたいことです。

また、多くのヘッドフォンはその特性がフラットなものは少なく、ピークがあって逆にそれが個性となっていますよね。要は音のバランスを崩してでも音像が目立つようにわざと個性的な特性になっているわけです。それがスピーカーシステムからの出音に比べて小音量でもより明確で音に輪郭があるため、解像度が高いように錯覚してしまいます。でも、これは大きな間違いですね。実際の演奏や音楽はそんなに音の輪郭や分離感を前面に出して表面的には鳴らないですから。本当の音楽はもっと大きくて深い響きがするものです。しかし、そんなピークの固まりのヘッドフォンでもBLO-3090で特にバランス駆動にてドライヴすると、不思議とヘッドフォンの駄目なところが修正されているようです。どのようなヘッドフォンでも非常にバランス良く、正しい鳴り方になります。これであれば小さい音量では音楽も小さく弱く、音量を上げれば音楽も大きく太くダイナミックに鳴り響くといった、至って自然なバランスになります。

BLO-3090はヘッドフォンアンプの次の来るべき時代に足を掛けている

H: 何だかBLO-3090はヘッドフォンアンプの次の来るべき時代に足を掛けているように思えます。スピーカーシステムの再生と同時に使え、それと遜色のないヘッドフォン再生を実現した意欲作だと思いますし、快作ではないでしょうか。また、リアパネルにある”BLO-BUS”などを利用した今後の拡張性のことも含めると、この機種をきっかけに充実したコンポーネントの発展に繋がる気がします。このことを考えるとBLO-3090のサウンドはこれ単体ではまだ完結していなくて、更に発展するのではないですか?

OS: そうですね、”BLO-BUS INPUT”や本体底面に設置されたB.E.C.S.回路(Blossom Electronic Control System)の”EXT FUNCTION”のDIPスイッチなどを見ると、今後このBLO-3090に接続される機器のリリースが控えていることは、誰でも予想できますよね。このあたりは今後に期待していただければと思います。

H: なるほど、それは楽しみですね。しかし、今回はBLO-3090とBLO-0299 Auditoriumの比較試聴ということでヘッドフォンアンプ部分のみを試聴しましたが、今度は是非スピーカーシステムでも聴いてみたいですね。

OS: 今度用意しておきますので、またよろしくお願いします。本日はありがとうございました。

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比留間一昭様

比留間一昭 様

今回はBLOSSOM開発・製造元のメーカー、オプティマソリトン株式会社のスタッフが、比留間氏のプライベートスタジオであるOlfa Studioに最新機種”BLO-3090 Reference Monitor Amplifier”を持参して試聴をしていただきました。試聴環境は、スタジオのマスター回線にあるDDコンバーター&DAコンバーターの出力をBLO-3090にバランスケーブルでインターコネクトし、同機の出力をバランスケーブルでメインのパワードスピーカーに送るセッティングです。普段はここにスタジオのモニターコントローラーが常設されていますが、今回はその回線をBLO-3090と入れ替えて比較試聴をしました。試聴のほとんどはスピーカーでのモニタリングにて行われましたが、最後にヘッドフォンでのモニタリングもしていただきましたので、それらの流れをインタビュー形式でお伝えいたします。

比留間一昭 :O-dinやLanderでの活動をはじめ、コンポーザー、キーボーディストとして活躍。また世界的なパーカッショニストYAS-KAZのマニュピレート、エンジニアリングなども手掛ける。最新作は中島央 監督・脚本・監修の映画「アンライバルド」のサウンドトラック。

映画「アンライバルド」について詳しくはこちら

聴こえてくるのは音楽だけ

今回はBLOSSOMの最新機種BLO-3090の試聴のお時間をいただきましてありがとうございます。まず、BLOSSOM製品は今までセカンドスタッフが企画開発及び製造をしてきましたが、このBLO-3090から新設されましたオプティマソリトン株式会社(OPTIMA SOLITON Inc.)というメーカーの製品になりました。言わば新生BLOSSOMの第一弾製品ということになります。BLO-3090は製品タイトルにある”Reference Monitor Amplifier”が示すとおり、プリアンプ&ボリュームコントローラーとしての音質と機能を前面に打ち出したものです。しかし、セカンドスタッフ時代から引き継がれるBLOSSOM伝統のバランス駆動対応のヘッドフォンアンプ部のクオリティーも申し分ないように仕上げてあります。比留間様は以前のBLO-0299やBLO-0169などの旧BLOSSOM製のヘッドフォンアンプも聴いていただいたことがあるとのことですので、今回はそれら旧製品とのヘッドフォンアンプとしての印象の違いなどがありましたら、そのあたりも含めてご感想をお伺いできればと思います。

分かりました。それでは早速新生BLOSSOMの新たなサウンドを聴いてみましょう。今回はCDもコンピューター上にあるサウンドファイルも全て同一クロックの下、DDコンバーターにて24bit/96kHzのPCMに統一して同条件の下で比較しますね。あっ、あと楽器も演奏して同条件で聴いてみましょう。 (30~40分位の間、メインスピーカーでのモニタリングにていくつかのCDやサウンドファイルを入れ替えながら、また時にはキーボードにてピアノのサンプルを演奏しながらじっくりと聴き入る…)うん、なるほど、なるほどね。そうですか、こう来ましたか。良いじゃないですか、これは!

BLOSSOM BLO-3090 with ヘッドホンT1

ありがとうございます。随分と聴き入っておられましたが、最初の印象はどうでしたか?

最初にパッと聴いた感じでは正直、一体何が起こっているのか分かりませんでした(笑)。それはなぜかというと、あまりにも機材の音がしなかったために、このアンプがどんな音なのか分からなかったんですね。今日は新しいアンプの音を試聴するということでしたので、聴き始めはアンプそのものの音、機材の音を聴こうとしてしまったんです。しかし実際に聴き始めてみると所謂機材の音というか、オーディオ機器特有のクセや付帯音のようなものが全くなくて、聴こえてくるのは音楽だけなんです。それで色々と音源を替えながら確かめていたのですが、結果は全て同じでした。そこにあるのは機器特有のクセや表面上の特性みたいなものではなくて、あくまで音楽そのものの奥深い鳴りや響きでした。

このことに気付いたとき、「う~む、なるほど、これは素晴らしいことが起こっているぞ!」と思ったわけです。このように感じることは通常のオーディオ機器にはほとんどありませんよね。いや、あるにはあるんですけど、それはEMTやSTUDER、NEVEやMANLEYと言った正に本物のメーカーによる極一部のイクイップメントに限っての話です。とにかくこのOPTIMA SOLITON製BLO-3090にはそんな音楽的な何かを感じますね。

モニター回線のラインアンプでここまで感動を覚えたのは初めて

そうですね。最初の印象は正にそのとおりだと思います。私たちBLOSSOM開発陣も徹底した音楽至上主義を貫いて、本物の音を頼りにこの製品を造り上げました。その結果、旧BLOSSOMの以前の製品のような、世の中にある一般的なヘッドフォン専用アンプというカテゴリーのものではなくなりましたし、音楽の表現方法も所謂「ヘッドフォンアンプの鳴り方」とは趣の異なるものではないかと思います。BLO-3090の製品タイトルに”Headphone Amplifier”の文言が一切使われていないのも、そのためです。確かにBLO-3090にはヘッドフォンアンプ機能はありますし、その部分も精一杯造り込みました。しかし、素晴らしい音楽を鳴らすためには今までどおりのヘッドフォンアンプを造っていては駄目だと思い、「本質とは何か」を追求した結果、”Reference Monitor Amplifier”という形になりました。 それではその点を踏まえつつ、もう少しソースをかけながら具体的なポイントをお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。

分かりました。どんどん聴いていきましょう!(そして何曲も聴き、何十分もかけながら同時に感想を述べてもらいました。)

先ず音像がしっかりとしていて、物凄く実体感がありますね。中低域にはコシがあり、ドッシリとしています。ボトムはかなり深く沈みますし、量感が十分あるにも関わらず引き締まっていて音がしっかり止まります。トップは薄くならずに自然に綺麗に伸びていますね。世の中には音の輪郭を出そうとして変に高域を強調したような機器も多く見られますが、BLO-3090のそれは極めて自然に伸びて行きます。天井もかなり高いですね。そして音楽にとって非常に重要な中音域は濃密かつ繊細で表情豊かです。特にヴォーカルや管楽器の演BLOSSOM BLO-3090 ヘッドホンアンプ奏では呟くような繊細な表情とパワフルに吹け上がる表情が頻繁に入れ替わるようなものがありますが、そのような音楽的な表現が非常に生々しく再現されていて、これにはゾクッと来ますね。とにかく圧倒的な表現力と説得力があります。

全体的な鳴り方は非常にバランスが良くとてもナチュラルなんですけど、単に自然というよりも、むしろ有機的=オーガニックという言葉の方が的をついているかな。音楽全体は低重心で安定感があり、周波数レンジ、ダイナミックレンジ共に広大で申し分なく、背景は真っ黒でとても静かです。これは驚異的なS/Nですね。多分電源部分がしっかりしているんでしょうね。音場や空気が澄み切っていて静かなので、その分個々の音が前後上下左右に浮き出るようにリアルに存在します。しかし、これも決して人工的に定位されたわざとらしさはなく、極めてナチュラルでオーガニックです。この定位、位相、音場の再現性は素晴らしいですね。

あと、これは聴き込むほどに強く感じて驚いたことですが、スピーカーの制動力が凄いです。ここのスタジオのパワーアンプやスピーカーなどのモニターシステムを完全にコントロールしているばかりか、ルームアコースティックまでも制御している感があります。明らかにいつものソースの鳴り方とは違うんです。センター定位が非常にしっかりとしていますし、生々しい音像が立体的に正しく配置された音場は、あらゆる方向に対して深く再現されています。位相の反転した音源は完全にスピーカーの外側に配置されて、まるで横の壁から鳴っているように聞こえますね。正面奥に配置された音源は正しくスピーカーの後の壁から鳴っています。こうなるとスピーカーの存在は消え去り、ソースの中にある演奏が目の前で鳴っているというか、自分がソースの中に居る感覚を覚えます。何ですかこれは!これは正に本物の音楽の鳴り方ですよ!モニター回線のラインアンプでこれほどまでに感動を覚えたのは初めてです。いや~、素晴らしい。じっくりと聴き込むほどにこの凄さが分かってきました。 一度スタジオ常設のモニターコントローラーに戻してみても良いですか?

どうぞ、手伝います。(と言って一旦BLO-3090を外して元のシステムに戻す。)

うわ~、何だか音が平面的だな~。音は硬いしレンジも狭い。それに何か全体がザワザワしていますね…。今までこんな環境で音楽を創ったり、聴いていたんですね。参ったな…。(と言って直ぐにまたBLO-3090に戻す。)

正に本物の音楽の鳴り方、「懐かしいけれど新しい」

おぉー、やっぱり違う!これは凄い!これが正に本物の音楽の鳴り方だと思いますね。とにかく楽器や歌声の奥底から来る表現力が物凄く良いです。本当にリアル。そしてやっぱり静かです。音像は実体感に溢れて大きくパワフルで、その余韻は自然にワイドレンジでクリアーな音場空間へと放たれていく感じが手に取るように分かります。大音量で鳴らしても決してうるさくならずに、スムースに音量だけが上がる感じです。全然ザワつかないし、歪みもない。f特もピークがなくフラット。そして何といっても音色が深いです。この音楽の本質に迫るようなディープなトーンは、デジタル系の打ち込みモノのマスタートラックでも、何だか12インチのアナログディスクで聴いているみたいな感覚になりますね。何でしょうか、この鳴り方は…。懐かしいけれど新しい。そんな不思議な感覚のある心地の良いサウンドだと思います。

なるほど、「懐かしいけれど新しい」ですか。確かに今一緒に聴いていてその感覚、分かります。最新のカッチリとしたデジタルサウンドでも平面的で薄くならずに、グッと内側からエネルギーが漲る感じがしましたが。

そうです、その感じです。12インチのアナログ盤って、そんな音がしますよね。音楽のエネルギーに満ち溢れていて、グルーヴがある。BLO-3090にはその感覚があります。

4pin XLR方式とヘッドフォンのバランス駆動

それでは今度はBLO-3090のもう一つの機能である、ヘッドフォンアンプ部分の試聴をお願いします。

分かりました。これも以前のBLOSSOMのヘッドフォンアンプのように、バランス駆動に対応しているんですよね。フロントパネルには何だか見慣れない4極端子が付いていますけど、これは何ですか?

これはBLO-3090から新たに設けました4pin XLR仕様のバランス駆動専用ヘッドフォン出力です。今まで市販のバランス駆動対応型ヘッドフォンアンプでヘッドフォンをバランス接続するには、LチャンネルとRチャンネルにスプリットした2つの3pin XLRプラグを取り付けたケーブルを必要とするのがほとんどでした。しかし、この方式ではヘッドフォンのケーブルを大きく改造しなければならないため、取り回しも決して良いとは言えません。自分の大切なヘッドフォンを大きく改造することに抵抗感を持たれる方もいらっしゃいます。そこでこのような4pin XLRの方式であれば、ヘッドフォンケーブルの先に取り付けてあるφ6.3mmのステレオ標準プラグをXLRプラグに付け替えるだけで済みますので、それまでと変わることなくスマートでフレキシブルな接続が可能になります。これであれば今まで大切なヘッドフォンを改造することに抵抗感を持たれていた方も、オーディオ特性上圧倒的に有利な駆動方式であるバランス駆動の環境に入りやすくなるのではと考えて、この方式をBLO-3090に搭載することになりました。

なるほど、確かにそうですね。外見上はフォーンプラグがXLRプラグに変わっただけなのでケーブル自体に変化はなく、取り回しはこれまでどおりフレキシブルですね。しかし出てくる音は全く別物ということですね!良いじゃないですか、このタイプは。これは隣に併設された今までどおりの2×3pin方式の出力と音に違いはあるのですか?

いいえ、BLO-3090の回路上は全く同じです。音に違いがあるとすれば、それはケーブルやプラグ、そしてその中での結線の仕方による影響がある場合のみです。今回の試聴に使うOPTIMA製の4pinバランスケーブルは、プラグ内部の配線もきちんとプラスとマイナスが交互になるように緻密に縒り分けて理想的な結線をしてありますので、電磁的な歪みが起こらないようになっています。

ヘッドフォンなのにまるでスピーカーで聴いているように感じる

そうですか。それでは早速ヘッドフォンアンプ部を聴いていきましょう。 (と言って比留間様が普段から愛用されている”SENNHEISER HD580 Jubilee ~Modified by OPTIMA Custom Shop”にOPTIMA製”Chronomatica mini Headphone Cable 4MX Balanced for HD650”を装着して試聴を始める。) おぉー、これは凄いですね。聴き始めて直ぐに感じたのですが、何が凄いかというと、ヘッドフォンなのにまるでスピーカーで聴いているように感じることです。さっきまで聴いていたスピーカーモニタリングのときと全く同じ感覚になります。定位、位相、解像度、f特、音場再現性、ダイナミックレンジなどのオーディオ特性のどれを取っても素晴らしいですが、それよりも何よりも、とにかく音楽の息吹と言うかエネルギーを伝える感覚がスピーカーで聴いていたときと全く変わらない点に驚きました。

BLOSSOM BLO-3090

それとこのインピーダンスを3段階に切り替えることのできるスイッチはとても良いですね。今使っているHD580 Jubileeのインピーダンスは300Ωなんですが、特にHI-Z(ハイ・インピーダンス)モードはかなり使えます。制動力が利いて音がピタッと止まりますね。ダラダラとしたラフな余韻がしなくなるので、背後にある音が非常に良く聴こえますし、背景は凄く静かで音場や空間を正確に把握できます。また母音と子音の繋がりの部分の表現力が素晴らしいです。非常にカラフルに音色が変化しているのが分かりますし、その表現力や説得力には感動しますね。とにかくバランス駆動でこのインピーダンスセレクターを組み合わせた繊細で奥深いサウンドは、普通のシングルエンドのヘッドフォンアンプからは到底再生できませんね。

しかし、バランス駆動方式ということで当然電気的には普通のシングルエンド方式に比べて圧倒的に有利に働いているのは分かるんですけど、それでも以前のBLO-0299やBLO-0169の鳴り方とは何か違いますね。これは正しい表現かどうか分かりませんが、旧BLOSSOMのバランス駆動サウンドはもっとハッタリが効いていたと言うか、個々の音像がもっと大げさに分離していて、音場もパッと聞き凄く広く鳴っていたと思うんですよ。要はビギナーでも誰が聴いても、頭内定位になるヘッドフォンリスニングにとっては効果的で面白いサウンドだったのではないかな。あれは音の分離も良くなったように感じられますし、とにかくシングルエンド駆動に比べて派手に変わるバランス駆動でしたよね。

正におっしゃるとおりです。少し技術的なことになりますが、BLO-0299やBLO-0169は採用していた電源方式のこともあり、アクティブグラウンドという方式を採っていました。アクティブグラウンド方式はトランジェント特性に優れ、スピードがあって音離れを良くすることができる特長がありますので、製品のサウンドキャラクターも自然とその方向に向かいました。しかしヘッドフォンには様々な種類があって、その特性も千差万別です。ものによっては故意に位相特性を操作して不自然に音場を広く取っているものも多いですし、ドライバーやハウジング、イヤーパッドの影響もあって出音はピークの固まりです。世の中に数百種類とあるヘッドフォンの中で、本当にフラットな特性を持っていて音楽の真の姿を再生できるものは、正直片手ほどしかありません。ほとんどのものは色眼鏡をかけて絵画を観るような状態です。 さらにインピーダンスもヘッドフォンによって様々ですから、BLO-0299やBLO-0169も機種によって合う、合わないということがありました。BLO-3090の開発段ではそれらの点を十分に検討し、真の音楽再生のことだけを考えて、そのためには何がベストかということに取り組みました。 その答えのひとつとしては、BLO-3090のセールスポイントにもありますとおり、先ずは入り口である部分「音の良いラインレシーバーアンプ」を造るということです。最近ではヘッドフォン専用のアンプが多くリリースされて選り取り見取りな状態ですが、先の話しに出たBLO-0299やBLO-0169などのようにハッタリの効いた音のものも多いです。それも音楽鑑賞を趣味とする上では楽しくて良いのですが、例えばEMTやSTUDER、MARK LEVINSONの機器にそれらが醸し出す素晴らしい音楽表現力をそのままにアウトプットする高性能なヘッドフォン出力が搭載されていたらどうでしょうか。MARK LEVINSONのアンプに4pin XLRのバランス駆動ヘッドフォンアウトプットがあったのならば、私は迷うことなくそれを買います。しかし、残念ながら実際にはそのようなものは存在しません。ですから無いものは自ら造ることにしました。当然オーディオメーカーとして製品をリリースしてお客様に買っていただくわけですから、市場のリサーチや様々な方からのご意見やご要望を反映させた部分は多くあります。しかし大前提としてあるのは、本物の音楽の姿をスピーカーでもヘッドフォンでも同じように再生することですから、その意志に従えば自ずと答えは見つかりました。全ては真の音楽を感じるために自分の欲しいものを造っただけです。

なるほど、そのような志の下に完成した製品だったんですね。どおりで今までの他のアンプとは音が違うわけだ。そのような音づくりのされたヘッドフォンアンプは、市場にはあまり無いかも知れませんね。あっ、BLO-3090はヘッドフォンアンプではなかったですね。ヘッドフォンアンプの付いたラインアンプ、もしくはプリアンプが正解ですか?

(笑)そうですね。そんな感じです。

音楽に対して真摯に取り組めばこういう音を鳴らすことができる

特に凄いと思ったのは、ヘッドフォンを着けたり外したりしてスピーカーからの出音と比べてみても、どちらにも全く違和感が無いということなんです。普通は明らかに違うものなんですが、とにかくこれには感心しました。原音に対して、また音楽に対して真摯に取り組めば、オーディオ機器ってこういったバランスで音を鳴らすことができるんだなと思いました。これであれば音楽制作の時にもヘッドフォンを十分に活用できますし、単にリラックスして音楽を聴くときにもストレスを感じません。

また機能も充実していて非常に便利です。各入出力の基準レベルを調整して機器間のレベルマッチングを取る機能は、プロの機材であれば当たり前のことですし、それができないと良い音のシステムなんて組めませんからね。それと個人的に良いと思ったのは、ミュート機能があることと、フェードインしながらオペレーションモードになったり、フェードアウトしながらスタンバイモードになったりするところですね。これはスピーカーやヘッドフォンをポップノイズから守る保護回路の機能だと思うんですけど、操作をしていて単純に面白いです。フェードインとフェードアウトに掛かる時間がそれぞれに違うのも設計者のセンスを感じますね。

デザインも個性的で良いと思います。UFOみたいですよね!特にリア側にアールのかかったデザインは素敵です。ヨーロッパのメーカーの製品などはデザインに自己主張があって素敵だと思いますが、日本のメーカーの製品は何だか普通に四角い箱みたいなものが多いじゃないですか。それはそれで機能的で質実剛健な部分も感じるんですけど、BLOSSOMの製品はいつも個性的なので僕は好きですね。特にこの新しいBLO-3090はイイ感じのパッケージだと思いますよ。

ありがとうございます。この筐体は外見上の奇をてらったものではなくて、独自の制振コントロールデザインに基づいて形になったものです。BLO-3090の音質に関わる多くの部分が、この独特なシャーシ構造や外装パネル、サイドウッドエンハンサー、それらを繋ぐ連結部品やシールド、インシュレーターなどでコントロールされています。

そうですか、確かに筐体でかなり音が変わりますからね。納得です。それにしても何だか今日これを持って帰っちゃうと思うと残念ですね。しばらくこのまま置いていってほしい気もするんですが…。 とにかく今日は新生BLOSSOMのBLO-3090の音に本当に感動しました。まぁ、正確にはBLO-3090が音を出したというよりも、「BLO-3090が引き出してスピーカーやヘッドフォンに正しく届けた、素晴らしい音楽に感動した」ということですかね。

そう感じていただけたのであれば、大変光栄です。

もうすぐ一般発売ですよね。楽しみに待っています!

本日は長い時間ありがとうございました。

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